無題

        作:雲流 雪



 つまらない。

 退屈だ。

 世界が色を失ってからどれだけ経っただろうか。
 今や音もない。
 白と黒だけの無音の世界。
 古い映画……その出来損ないだ。

 明日も昨日もない。
 あるのは今日だけだ。
 ただひたすら繰り返される今日……。

 壊してやる。
 僕が壊してやる。
 このつまらない、腐った世界を。


 爆弾。
 爆弾を使おう。
 たった一発で世界の全てを破壊する爆弾。

 世界で最も綺麗な花火を咲かせよう。
 誰ひとりとして死を逃れることはできない。


 爆弾は、爆弾のスイッチはどこだ?
 どこにある?
 見つからない。
 一体、どこに……?



 ……ミツケタ。



 爆弾の、スイッチだ。
 このスイッチを押せば、世界は消滅する。
 美しい花火を咲かせて……。


 ――僕は静かにそのスイッチを押した。









「今日の夕方、K県E市S町の高校生が自室で死亡しているところを帰宅した母親が発見しました。
 なお、この少年は内部から頭を破裂させて死亡するという非常に不可解な死に方をしていました。
 これに対して専門家は、通常このような死に方をすることは考えられない、と頭を捻らせています。
 警察は、あらゆる可能性を考慮し捜査を…………





後書き

初のダークです。
読んでくれた人がどんな感想をもつのか不安です。
ちょっと短かったですかね……。
雫の音楽を聴きながら書きました。

本来、補足なんて書くべきではないと思うのですが、一応書きます。
祐介にとっての世界というのはもう、自分の脳の中にしかなかった、ってとこです。
分かりにくいですね、気にしないでください。(ォ


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