作:雲流 雪
理緒ちゃんと付き合い始めて、一年……
俺は、気付いてしまった。
雛山家と理緒ちゃんの秘密に……
雛山家は、なぜ貧乏なのか?
理緒ちゃんの触角(?)は何なのか?
これが一般的なユーザー(笑)の疑問だと思う。
しかし! 俺は気付いてしまった。
この2つの疑問は、つながっていたのだ。
すなわちっ、あの触角には、
多額の費用がかかっていたのだ!!
彼女の父親は、天才生物学者。
ゴキブリの驚異的な生命力の謎を研究していた……。
賢明なる読者諸君、ここまでくればわかるであろう。
あの触角は、その研究の成果を遺伝子組み換え技術を使って作ったものだったのだ。
触角の効果は、一目瞭然だったが、ゴキブリの触角をつけてまで、
生命力を身につけたい奴はあまりいなかったのだろう。
倫理的な問題もある。
それで、その研究は、日の目を見ることなく、闇に葬り去られてしまった。
おかげで、多額の研究費用を使った理緒父は、責任を問われてクビ。
しかたなく、理緒に触角をつけたのだった。(その必然性は「?」)
「藤田く~ん、さっきから1人でなに言ってるの?」
「理緒ちゃん。俺ら、付き合ってもう、1年になるんだぜ。いいかげん、
他の呼び方にしたほうがよくない?」
「え~? だって、藤田くんは、前からずっと、藤田くんだったし……」
「それにしてもだなぁ~……」
ったく、あかりみたいな言い方しやがって。
理緒ちゃんは、理緒ちゃんらしいほうがいいってのになぁ。
あ、勘違いしないでくれよ、あかり派のみなさん。
そりゃあ、たしかにここでは、理緒ちゃんを選んだけど、
べつにあかりのことが嫌いなけじゃないんだからな。
って、んじゃこりゃあ~!!
「り、理緒ちゃん。その手に持ってるモノは一体……?」
どうみても、年季の入った包丁にしか……。
「ごめんね、藤田くん。秘密を知ったものは殺さなくちゃいけないの」
そ、そんなっ! 冗談じゃない。逃げ……
「そうは、いかないよ」
あ? 誰だ? こんな非常事態に、よくあるセリフを言ってんのは?
そこには、1人の少年が立っていた。
おそらく、どこにでもいる普通の少年だろう……。
ただ、ガスマスクをつけていて、「クロロフォルムだよ☆ 危険~♪」
と書かれているフタの開いた怪しげなビンを持っていることをのぞけば。
「あ、それは、マンガとかでよく出てくるクロロフォルム!
それさえあれば、あんなことや、こんなことが……」
って、こんなこと考えてる場合じゃない。
どんどん、意識がモウロウと……
「ねーちゃん、これでもう抵抗しないぞ。……殺すのか?」
「うん、ありがとう。でも、秘密を知ったからって殺しはしないわ。
秘密は共有するのがイチバン☆ お父さんに連絡してくるね」
かくして、ゴキブリ人間「藤田浩之」が誕生した。
こいつの活躍はまた、次の機会ってことで……。
あとがき
俺の処女作です。
藤田浩之16歳~冬~のネタを考えていたら、思いつきました。
ゴキブリ人間「藤田浩之」。書きません。(爆)
期待しないでください。(誰もしてないって……)
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