「文明の衝突と21世紀の日本」サミュエル・ハンチントン
日本にとって、西欧が他人であるように、アジアもまた他人である。
日本は中華でも仏教でもない一つの独立した文明だから。
読んだほうが良いと思われる本のうちの一つです。
かなり勉強になります。
H15.4.2
「天皇家はなぜ続いたのか」梅澤恵美子
テーマ自体は物凄く興味深く即買いしたわけですが。
内容は、記紀や神社伝承を基にヤマト建国の謎を探る、みたいな感じで、
それはそれで興味深かったでしたが、想像とは違いました。
H15.5.1
「世界共和国へ」柄谷行人
自分はたとえどんなに精緻な制度その他を持った社会が描かれていようと、現実を寄与のものとしてそこに至るまでの道筋が描かれていない限り
それは単なる夢想の域を出ないと思っている。
確かに、この本は単なるユートピアの構想が描かれているわけではないけど、大部分が「歴史」(過去及び現在の考察)の話で、
現在の状況からいかにして世界共和国へ至るかの具体的考察を期待して読んだ自分としては少し期待外れだった。
ともあれ、国家は外部との関係において国家なのだから、内部から国家を廃棄することはできない、といった下りはなかなか面白かった。
つまり、ある国が国家を廃棄したとしてもすぐに周辺からの干渉や支配を招くし、そうさせまいとその体制を維持しようとすれば国家的にならざるをえないわけ。
そこでマルクス主義者達は「世界同時革命」を唱えたわけだけど、それはちょっと難しいよねってところから(自分にとっての)本題が始まる。
で、筆者が何を言い出すかと思えば「国連に主権を徐々に譲渡していこう、例えば日本の憲法9条のように」みたいなこと。
何だかなぁ……。
過去に対する洞察はなかなかのものだと思ったけど、現状認識はお粗末だと思った。
筆者は「リバタリアンやアナルコキャピタリストは、資本主義が国家を解体するかのように考えているのですが、そんなことは絶対にありません」と言ってるけど、自分はむしろそちら(資本主義、というかグローバリゼーション)のほうが世界共和国(まぁ、世界連邦どまりになると思うけど)への近道なんじゃないかと思う。
例えば、現に会計基準が統一されてきているし、FTAによって関税も徐々に撤廃されてきているし、人の往来も長い目で見れば一貫として自由になってきているし。
そのうち、税制も似たものになっていきそうだし。
H18.5.28
「宇宙開拓とコンピュータ」松本紘
宇宙開拓の必要性を説くことから始まります。
曰く、増え続ける人口と、向上を続ける生活レベルのために、地球上では、資源、エネルギー、
食糧および空間はいずれも急速に不足している。この問題を解決するためには、
地球という閉鎖系から人類が脱出し、少なくとも太陽系全体にその生活圏を広げることが必要である。
人類が皆、科学者(というか科学的思考のできる人間)であったら……と思います。
いや、本当に。
スペースとユニバースの定義についてはなるほどと思いました。
「スペース(space)」または「宇宙空間」の定義は、人間が探査機などを送り、
直接測定できる領域のことで「遠い宇宙」である「ユニバース(universe)」や
「コスモス(cosmos)」とは区別するそうです。
宇宙太陽光発電所
何ヶ月か前、Newtonで特集されてました。
次世代発電方式の本命かと。
核融合発電なかなかできないし。
石油や天然ガスなんかとは違って、実質的には、無限にあるわけですし。
まあ、本文はコンピュータシミュレーションの有用性に多く割かれていました。
H15.2.13
「親日派のための弁明」金完燮
毒を以って毒を制せよ。
反日教育を受けた人は読むといいと思います。
日本の善ばかり載っていますが、悪ばかりを学んできた人には丁度良いのではないでしょうか。
「日本人と『日本病』について」岸田秀、山本七平
日本人と「日本病」について
小学生の頃、父に貰った本です。
今回改めて読み直して判りましたが、少なからぬ影響を受けていたようです。
日本を精神分析しているのですが、非常に面白いです。
今なお通じるものがあります。
…………。
それは、日本が成長していないことを意味しているような気が……。
「『量子論』を楽しむ本」
最初はつまらないですけどw後から面白くなってきます。
数式とかは少ないです。
もっと多いほうが逆に判りやすいような気もしますけど、アレルギー患者への配慮でしょうか。
歴史に沿って説明してあるので、ばらばらだった知識がつながった感じがします。
「善悪の彼岸」ニーチェ
徒然でも何度か言及しています。
ニーチェ以前、哲学は真理を探る学問であったりしたわけです。
ところが、ニーチェは「なぜ真理がなければならないのか」とまあ、こんなことを言いました。
これは、自分の中ではコペルニクス的転回でした。
道徳についての記述、これは非常に興味深いものでした。
自分の考え方を根の部分から変え得る力を持っています。
H15.3.5
「共産党宣言」マルクス、エンゲルス
もはや、時代遅れとなっている部分が多いように思えました。
何を言っても言葉が届かないような不毛さの源泉がここにあるのかもしれません。
共産主義についてはいくらか知っていたので、歴史の事柄を別にすれば、自分にとって目新しいものは
それほど多くはありませんでした。
より体系的に共産主義思想を知ることはできましたが。
様々なものを「反動」だの「ブルジョワ」だのと言って非難するのは、
既にここから始まっていたというのは大きな発見でした。
「真の」共産主義を理解していない馬鹿の言動だと思っていました。
「真の」共産主義というものは今、或いはかつてあったものとは違うのではないかと思っていましたが、
大きな間違いでした。
そう、実は自分はこれまで「真の」共産主義というものがあると思っていました。
実際、世界に大きな影響を与えたのは確かです。
それだけの価値を持つものだと思っていたわけです。
まあ、当時は確かに大きな価値あるものだったのかもしれません。
ただ今日では最早、価値は無い、とは断言できないまでも、あまり意味はないのではないかと。
H15.3.7
「『空気』の研究」山本七平
まったく、興味深いです。
空気といっても、その成分の75%が窒素で……とかそういった話では勿論ありません。
「場の空気」ってやつです。
分かりやすい例だと、
学級会か何かで立候補者を募る。
暫くしても、誰も手を挙げない。
この時の「空気」です。
一度、この「空気」が醸成されてしまうと、もう、誰も立候補する人間はいなくなります。
延々と時間だけが過ぎてゆく……。
そんな経験したことありませんか?
自分は、小学校中学年くらいから、高校まで毎年経験していたような気がしますが。
まさに、「空気」が人を支配しているわけですな。
まあ、これが学級会だけじゃなくて、戦前の日本軍でも、「今」でもある、という話です。
無論、ある、というだけの話ではなくて、それを研究しているわけですが。
いやはや、まったく、おもしろいです。
つか、この本は三本立てでして、「空気」の後は、「水=通常性」の研究、日本的根本主義について、
に続きます。
当然の如く、この三つは、つながっている、というか切っても切れない関係なわけですが。
「水」というのも「場の空気に水をさす」時に使われる「水」です。
まあ、「水」ってのは、現実です。
これは、本に載ってた例なのですが、
脱サラして独立する夢を見るサラリーマン達。
場の「空気」は盛り上がり、すぐにでも独立できそうな気がしてきます。
ここで、「水」がさされます。
「そうは言っても、先立つものがないとねぇ……」とか何かとか。
これで、人々は現実に戻ってゆく、みたいな。
いや、かなり、端折っているので、これを読んで大した事無い本だとは思わないで下さい。
かなりお薦めな本なので。
最近、「空気を読めよ」という表現がよく使われるような気がします。
よく言えば「空気」に支配されない、悪く言えば「空気」を読めない日本人が増えているのでしょうか。
昭和期以前の人々は、「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があったそうで、
そう考えると、「空気」を読めて且つ「空気」に支配されない日本人が一定数存在することは
日本にとって必要なことでしょう。
しかし、「空気」を読めない日本人というのは、異端であって、“村八分”ではないでしょうか。
この「空気」の概念は井沢元彦氏の「言霊」の概念と併せて考えると非常に興味深いものとなるのでは
ないでしょうか。
なぜなら、それは同じく日本人を支配するものであるからです。
ぱっと思いついたところで言うと、「言霊」が「空気」を生む、ってとこでしょうか。
かなり多くの例が見出せると思います。
他にも、いろいろな検証ができそうですが、ここでは割愛します。
といって、どこかで検証する気は、無いとは言い切れませんが、たぶん、ありません。
でも、「空気」によっては、検証する可能性は充分あるかと。(w
H15.3.8
「君主論」マキアヴェリ
俗にいう(目的のためには手段を選ばない的な)「マキャベリズム」は
本来のマキアヴェリの思想とは異なります。
マキアヴェリは単なる思想家ではなく、実際に外交官等として政治に携わった人物です。
従って、その思想も机上の空論ではなく、現実に立脚したものです。
内容的には、君主国の分類から始まります。
君主の行動指針が主な内容かと思っていたので、意外でした。
その後、内政や軍事、外交において君主がどう行動すべきかを歴史(実体験も含まれる)を
もとに考察しています。
味方でない者が中立を要求してきたり、味方の側が、応援を要請してきたとき、
決断力のない君主は、当面の危機を回避しようとするあまり、多くのばあい中立の道を選ぶ。
そして、おおかたの君主が滅んでいく。
印象に残ったもののうちの一節です。
この後、まるで数学の証明問題のように事態を場合分けして、
中立がなぜ駄目なのかを論証していきます。
このような形式が著者の基本的なスタイルなんですが、なかなかおもしろいです。
H15.3.17
「武士道」新渡戸稲造
元は外国人向けに書かれたものを翻訳したものです。
読みながら「新渡戸はキリスト教徒なのか?」と思いましたが、案の定そうみたいです。
読んでも損はないと思いますが、それほど強く薦めるほどでもありません。
内容自体は興味深いものですが、根底の思想に日本への深い理解と同時にキリスト教的なものが
あって、俺はあまり好きではありません。
但し「日本への深い理解」の存在は忘れてはなりません。
この点があることによって、既に述べたように興味深いものとなっています。
キリスト教臭さもたまにある程度です。
H15.3.22
「大学で何を学ぶか」浅羽通明
始めに断っておきますが
「大学では遊び呆けたりせず、しっかりと教養を身に着け……」
という本ではありません。
かといって「大学では卒業できる程度に単位を取って、後は遊びにバイトに恋愛に……」
という本でもありません。
四章立てですが、一章ごとのテーマだけでも一冊本を書けるのではないか。
H15.4.6
できれば、大学生になる前に読んだほうが良いかと。
大学生なら就活の前に読んだほうが良いかと。
むしろ、大学生じゃなくても読んだほうが良いかと。
「大学とは何なのか」を学生側、企業側から分析しています。
そして、歴史も絡めて。
とりあえず、かなりお薦めです。
H15.4.7
「日本語の作文技術」本多勝一
まさか、この人の本を読むことになるとは思わなかったけど、内容的にはなかなか素晴らしい。
特に修飾の順序や句読点の打ち方について説明している部分が参考になった。
今までずっと「何となく」で読点を打っていたので。
というか、ほとんどの人は厳密な原則を意識することなく「何となく」で読点を打っているんじゃないかと思うけど、どうでしょう?
実際、人によって読点を打つ場所がバラバラだし。
ただ、例文に「進歩的」なものが多く含まれてるのはちょっと頂けない。
「ケネディ大統領をダラスのパレード中に暗殺し、下山国鉄総裁を自殺とみせかけて暗殺する。これがアメリカ独占資本とその走狗のやりかただ」とかw
人がどんな考えを持っていたとしても、それはその人の自由だとは思う。
でも、こういう本で思想を押し出すのはちょっと下品かと……。
H18.8.29
「生命と非生命のあいだ」
アイザック・アシモフの科学エッセイ。
アポロ11号が月に着陸する2年前、1967年に出版された。
温度が華氏、長さがマイルで書かれてて、ちょっと読みにくかった。
二酸化炭素は炭酸ガス、核戦争は原水爆戦争になってるなど微妙に語句が分かりづらかったりするし。
とは言え、内容はかなりおもしろかった。(但し、序盤はそれほどでもない
書かれた内容にいちいちコメントつけたい位です。
とくに「1990年の生活」と「2014年の万博」あたり。
全体として、宇宙開発の発展にはかなり楽観的な一方、人口の増加を非常に危惧していたのが印象的でした。
今でも通じる話が多いですし、時代の雰囲気も感じ取れて興味深かったです。
宇宙開発に関して言えば、
1980年 月基地建設
1985年 人類、火星に降り立つ
1995年 火星基地建設
2000年 人類、金星と水星に降り立つ、原子力ロケット・イオンロケットが実用化、全太陽系の惑星を無人探査
てな具合。
技術的には不可能でもなかったんでしょうけど……。
何らかの技術的課題ではなくて予算がボトルネックになるというのは何とも残念な話です。
人口増加問題に関しては「2014年には世界の人口が65億に」という記述がありましたが、2006年10月現在の時点で既に65億を超えています。
そして「1990年には、ほとんど世界中が、政府の手によって家族調節の手段が組織されることを当然と考えるようになっているだろう」とも。
しかしながら、ちょうど昨日にアメリカの人口が3億を超えたそうですが、そんな国は中国くらいですかね……。日本では逆に少子化が問題視されている位です。
最近は人口の増加そのものより貧困が問題視されているように思えますし、政府による人口調節が受け入れられるとも思えません。
このあたりには、人権意識の定着が背景にあると思うんですが、どうでしょう。
H18.10.18
「あなたの話は、なぜまわりくどいか」矢幡洋
いわゆる「スピーチ上達法」的な本ではなくて、話がまわりくどくなる心理学的な背景を解説した本。
「まわりくどい」系の他に「言葉が足りない」系の話し方についても説明がある。
なんかこう書くとやたら学術的な本に思えるけど、実際はそんなことありません。
例として、細木数子や安藤美姫・福田康夫なんかが挙げられているので読みやすく、分かりやすいかと思われます。
フロイトの精神分析じゃないけど、心当たりがある人は読んで原因を自覚するだけで効果があるんじゃないかと思います。
少なくとも、自分には効果があったかどうかはともかく大変参考になりました。
また、心当たりがない人もこうした話を知っておけば後々の人間関係をめぐる諸々の役に立つんじゃないかと思います。
H18.11.1
「なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか」スーザン・A・クランシー
タイトル通りの内容。
ここまでタイトルと内容が一致している本も珍しいと思う。
以下、各章のタイトルを列挙してみますが、各章の内容も正しくタイトル通り。
第1章「いったどんないきさつでエイリアンの研究をするようになったのか?」
第2章「なぜエイリアンに誘拐されたと信じるようになるのか?」
第3章「もし起きていないなら、なぜ記憶があるのか?」
第4章「アブダクションの話は、なぜこれほど一致しているのか?」
第5章「どんな人が誘拐されるのか?」
第6章「もし起きていないなら、なぜ起きたと信じたがるのか?」
細かいプロセスは省きますが、つまるところ「エイリアンによる誘拐=アブダクション」というのは一種の[神話/物語/宗教]のようです。
睡眠麻痺(金縛り)や睡眠障害、うつ状態、体の痣、人間関係がうまくいかないこと等々の原因をアブダクションに求めるようです。
この発想はひどく奇異に思えるかもしれませんが、日本で金縛りの原因が幽霊に求められるのと比べれば大差ないかと思います。
アブダクションに興味が無くても、科学・疑似科学・宗教あたりの関係や催眠や記憶のメカニズムなんかに興味があれば読んでみると面白いかもしれません。
(エイリアン関係の細かい話しは適当に飛ばし読みしつつ……)
H18.11.9
「SEの処世術」岩脇一喜
著者は富士銀行(今のみずほコーポレート銀行)でシステム開発してた人。
そんなんでいいんかなぁという部分も結構あったけど、一応現場にいた人の話なので心に留めておこうと思った。
構成としては、サラリーマンとしてのSE・職人としてのSE・芸術家としてのSEについてそれぞれ処世術が記してある。
そして、最後に「勝ち残るSEであるための9のスキル」
目次を読んでも9つのスキルが分かりにくいのでここに列挙しておく。
- 対外能力
-
- 文章力
- 交渉力→要約能力
- 人脈
- 危機管理能力(危機予防+危機対応)
- 対内能力
-
- 集中力
- 自己管理能力
-
- 異能力
-
- 「はったり」
- 徹夜力
- 直感
H18.11.13
「ゲーテ格言集」ゲーテ
気に入った格言をいくつか。
「われわれの処世術の本領は、生存するためにわれわれの存在を放棄するところにある」
何となく、サラリーマンの悲哀を感じましたw
ゲーテは恋多き人物だったようなので、そっち方面なのかもしれませんが、いずれにせよ思うところのある言葉。
「知識はこの目まぐるしい世の中ではもはや糧にならない。すべてのことに注意しきれないうちに、自分自身を失ってしまう」
ゲーテは1749年に生まれて1832年に没したようなので、日本だと江戸時代、世界的にはアメリカの独立やナポレオンの活躍(?)があった辺りですかね。
情報過多とか情報爆発とか言われている昨今ですが、こんな頃から似たようなことが唱えられていたとは驚きました。
1世紀後にはもっと凄いことになっていそう。
世界人口×(情報の)生産性がピークに達するまでは、増え続けるんじゃないかと思った。
世界人口の増加「率」がピークに達するのが2050年頃らしいので、少なくとも自分の生きているうちはこの傾向が続くんだろう……。
「外国語を知らないものは、自分の国語についても何も知らない」
中学生の頃だったら分からなかっただろうけど、今なら実感できます。
「どんな読者を私は望むか。私をも自分をも世界をも忘れて、本の中にのみ生きる無私虚心な読者を」
俺のことかーっ!!
本にのめりこむと、それまで自分がいた場所とか社会的に規定された自分の存在を忘れてしまいます。
まぁ、なかなかの本じゃないとこういう状態にはなりませんが。
「自分に命令しないものは、いつまでたっても、しもべにとどまる」
一番の収穫でした。
肝に銘じておこうと思います。
H18.11.20
「人生論」トルストイ
トルストイの「人生論」を読んだ。
発表当時(19世紀末)「正教の教義に対する不信を植えつけ」ることから発禁になったようだが、トルストイの思想は自分からするとやはりキリスト教でしか無いように思われた。
それだけ両者の思想に普遍性があると解すべきなのかもしれないが。
意識に対する洞察には目を見張った一方、(生命を理解するうえで)科学を否定するのはどうかと思った。
まあ、科学は人生の目的を答えてはくれないし、それを求めれば必然的に宗教になってしまうのかもしれない。
そして、帰結主義的に考えればそれでいいのかもしれない。
H19.2.4
「時間はどこで生まれるのか」橋元淳一郎
これは良著。
内容は、相対論や量子力学などの現代物理学の知見を踏まえた上での哲学的時間論を構築しようとするもの。
時間論を抜きにして、現代物理学が明らかにした日常生活を送っているだけでは分からない世界の姿を垣間見るだけでも十分に読む価値があるし、宇宙観にも影響が与えられると思う。
H19.2.27
「孟子<上>」
3月の初めから少しずつ読み進め、昨日やっと読み終えた。
まだ、下巻が残ってるけど。
2300~2400年くらい前の人の話なんですが、今読んでも示唆に富むのはさすが。
H19.5.19
「勝ち馬に乗る!」
R30の書評を読んですぐに買った本です。
読み始めるまでにかなり時間がかかってしまいましたが。
かなりおすすめ。
15年前にアメリカで出版されたそうです。
ところが、古さを感じさせないところが凄い。
現在の日本の話をしているんじゃないかって思う部分もしばしば。
↓今回からリンクを貼ってみた。
↓自分はいつもbk1を利用しているんだけど、こういうのはamazonのほうがいいんかねぇ?
アル・ライズ著 / ジャック・トラウト著 / 高遠 裕子訳
阪急コミュニケーションズ (2007.2)
通常24時間以内に発送します。
そういえばISBNが3桁増えてた。
H19.5.24
「転ばぬ先の経済学」デイヴィッド・R・ヘンダーソン&チャールズ・L・フーパー
これはお勧め。
特に、合理的な判断ができるようになりたいと思う人は是非。
原題は「Making Great Decisions in Business and Life」
この邦題を考えた人はなかなかセンスがあると思う。
本の帯には「百円を惜しんで百万円の損をしている。超一流の学者も、大会社の経営者も、考えられないようなミスをするのはなぜか? 元アメリカ大統領経済アドバイザーが豊富な事例から教える、ものごとを成功に導く『正しい判断力』を鍛える上級テクニック」とあります。
経済学といってもマクロやミクロがどうしたという経済学ではなくて、実生活で役立つ最良の意思決定のための「生きた経済学」です。
まぁ「上級テクニック」というのは言い過ぎかな。
「基本的考え方」くらいでいいと思います。
ただ、それができてない人がとても多いという話。
ノーベル経済学賞を取った人でもこうした判断ミスを犯すらしい。
全15章と充実した内容なので、機会費用やサンクコストの話程度なら知ってるよって人も学べることは多いと思います。
知ってる話でも実例が面白かったりするので退屈しません。
いや、自分の話なんですが。
H19.7.8
「レバレッジ時間術」本田直之
今までこういう本は何となく胡散臭くてあまり読んでなかったけど、少し認識を改めた。
良いところはどんどん取り入れていきたい。
サブタイトルは「ノーリスク・ハイリターンの成功原則」
本書では著者の具体例がいろいろと紹介されていて、それぞれ参考になる。
が、一番の収穫は「原則」というか考え方だと思う。
「ノーリスク・ハイリターン」という言葉にはちょっと拒否反応が起きるけどw
で、その原則というのが時間にも投資の概念を適用すること。
節約では限界があるけど、投資なら大きな時間を生み出せるというわけ。
このへんは船井総研社長の小山さんの「売上10%アップより30%アップのほうが簡単」という考え方にも通じるんじゃないかと思った。
つまり、従来の延長ではなくて、ブレイクスルーを図ることの大切さ。
その他にも子ネタが満載だし、本の構成自体も著者の哲学が反映されていてなかなかの一冊に仕上がっていると思う。
個人的には、読んでいる途中に、先日読んだ「転ばぬ先の経済学」で出てきた概念の変奏を感じ取れたりと自分の頭の中で有機的に結びついていく感覚が心地よかった。
H19.7.11
「ホワイトカラーは給料ドロボーか?」門倉貴史
日本が他国に比べて労働生産性が低いのは、日本の闇労働参加率が低いためだという指摘は門倉さんならではかと。(他にもいろいろ要因は挙げられてます)
内容が多岐に渡っているので総括がしづらいけど、今後の展望も含めてホワイトカラーを把握するのにもってこいではないかと思います。
H19.7.19
「徴税権力」落合博実
副題は「国税庁の研究」
筆者は元朝日新聞の記者で、取材時のエピソードが本書の中心。
全8章。
章ごとに軽く感想でも。
第1章~第3章までは政治絡み。
第1章「金丸信摘発の舞台裏」
第2章「介入する政治家」
第3章「税の無法地帯」
「税の無法地帯」とは「政治資金」のこと。
章名を見ただけでも怒りが湧いてきますな。
第2章では小泉さんの名前まで挙がっていた……。
国税庁は財務省の外局なので、予算や税関連の法を通したいという思惑から特に与党の政治家には強く出れなかったりするらしいorz
もうちょっと独立性の強い組織にしてほしいものだけど、そもそも相手が法律を決める側だからなぁ……。
といっても「法律を決める側」を決めるのは国民だけど。
第4章「検察との確執と協力」
どっちも公僕なんだから面子やらにこだわってないで、お互いちゃんと協力しろよ。
第5章「資料調査課の凄みと危うさ」
第6章「大企業との微妙な関係」
東京国税局査察部に摘発された後、ハイジャックに出くわした社長さん曰く、ハイジャック犯より国税局のほうが怖かったらしいw
でも、大企業の調査には及び腰。
言い分も分かる部分は多いし、リソースが限られてるのも分かるけどもうちょっと何とかならないのかと思う。
そもそも、調査の結果何も出てこないことを恐れすぎだと思う。
この辺りは職員の評価方法を変えることでなんとか対処できるんじゃないかな。
まあ、公務員で評価方法を変えるっていうこと自体がかなり大変そうだけど……。
とりあえず、結果として「取りやすいところから取る」形になってしまっているのが納得いかない。
それよりも「課税の公平」のほうが大切、というかそれが原則だろと。
第7章「マスコミとの攻防」
生臭い話。
第8章「国税対創価学会」
創価学会圧勝?
国税ガンガレ! 超ガンガレ!!
「あとがき」
国税は頑張ってるけど、会計検査院はクソだな、って話。(超意訳)
真面目な話、納税者としてはどうにかしてほしい。
今月末に税金の支払いがあるけど、払う気無くすわ。
(もちろん、期日にちゃんと払うつもりでいますけど)
国税と会計検査院(ついでに社会保険庁も)の人員を入れ替えればいいんじゃね?
H19.8.29
「努力しているヒマはない!」宋文洲
成功した人は、努力したから成功したのではありません。
成功するようなことをしたから成功したのです。
幸せになれた人は、努力したから幸せになれたのでもありません。
幸せになるようなことをしたから幸せになれたのです。
-前書きから抜粋-
とにかく自分の感性にジャストフィットした!
会社に対する見方がちょっとステレオタイプに感じたなところや、フリーターを持ち上げてるけど殆どのフリーターには当てはまらないんじゃって部分もあったけど。
かなりオススメ。
H19.9.9
「デスマーチ 第2版」エドワード・ヨードン
副題:ソフトウェア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか
原題:Death March 2nd Edition
業界の人には是非読んでほしいと思います。
デスマーチって日本特有のものかと思っていましたが、実はアメリカが本場なんですね。
学生の時に読んでいたらおそらくピンとこなかったであろうことも、今では経験と照らし合わせて実感できました。(幸か不幸か)
つまり、問題は「ソフトウェア開発プロセス」とか「技術力」とかそういうところにあるのではなくて、ひとえに「政治」の問題である、と。
H19.12.12
「自由と保障」トニー・フィッツパトリック
副題は「ベーシック・インカム論争」
自分が
ベーシック・インカムを知ったのは、左派リバタリアニズムの政策に触れた時だった。
しかしながら本書を読んで、ベーシック・インカムがさまざまなイデオロギーの政策パッケージの一部として採用され得ること、採用される文脈によってベーシック・インカムの持つ意味が大きく異なることが分かった。
そして、もう一つ大きな収穫だったのが、本来のグリーンとフェミニズムに対する理解が深まったこと。
思想としての本来のグリーンとフェミニズムにはそれなりの哲学的背景があったようです。
実際に活動している団体とかはひどく歪曲したり、宗教になってしまったりしてる気がするけど。
H19.7.1
「火事場プロジェクトの法則」山崎敏
サブタイトルは「どうすればデスマーチをなくせるか?」
システム開発に携わる人には是非読んで欲しいです。
忙しくても自分を見失わないようにしたいものですな。
H20.2.17
「クリティカルチェーン」エリヤフ・ゴールドラット
副題は「なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」
「ザ・ゴール」シリーズの4作目。
TOC(制約条件の理論)をプロジェクトマネジメントに応用することがテーマ。
ちなみに、中身は小説で、エキサイティングでした。
前々からこのシリーズには興味を持っていたんですが、ついに読んでみました。
いきなり4作目を読んでしまいましたが、読んでいて特に問題は無かったです。
途中で「おさらい」みたいな部分も出てきますし。
読んでいて思い当たる節も多く、非常に参考になりました。
H20.4.16
「人を動かす」D・カーネギー
人を動かす。
実は今一番、自分の仕事に必要なことなんじゃないかと思い、読んでみた。
1937年に発売して以来のロングセラーだけあって読んで損は無かった、というか読まないと人生の損でした。
むしろ、中学生ぐらいの時に読んでおきたかった……。
少しずつ実践していきたいと思います。
ちなみに、原題は「How to Win Friends and Influence People」
winって「勝つ」という意味しか知らなかったけど「説得する」という意味もあるみたい。
内容は
・人を動かす三原則
・人に好かれる六原則
・人を説得する十二原則
・人を変える九原則
・幸福な家庭を作る七原則
各原則の中身については
wikipediaを参照してください。
H20.6.8
「世界の奇妙な国境線」世界地図探求会
ちょっとした時間にさらっと読むのにちょうど良いです。
トリビア好きにおすすめ。
ちなみに一番印象に残った場所は
クチビハール
世界にこんな場所があったとは……。
H20.9.4
「幸運な宇宙」ポール・デイヴィス
今ある宇宙の物理定数の種々は生物が生まれるのに都合よく調整されているように「見える」けど果たして? というお話。
宇宙についてこれまでに分かっていることの他、さまざまな仮説が紹介されています。
面白すぎて鼻血が出ます。
・偶然の宇宙
筆者は「ばかげた宇宙」と読んでいましたが、自分は偶然の宇宙と表現してみました。
宇宙はたまたまこういう姿をしていて、そこに理由などないという説。
大部分の科学者はこの見解を取るけど……"たまたま"の確率がダークエネルギーに関するものに限ってみても10^120分の1なのに偶然では片付けられないのでは、という話。
ちなみに、この確率はコイン投げで400回連続で表が出る確率ぐらい。
マージャンだと、21回以上連続で天和が出ますww
しかも、これ以外にも山ほどの偶然が積み重なっているというね。
確かにこれを偶然と考えるのは馬鹿げてるとしか……。
2ch風に言うと「ちょまw どう見てもチートだろjk」
・唯一の宇宙
これは、ある究極の理論があって、その理論の帰結として宇宙の姿は"この姿"だけに限定されるという説。
偶然は必然でした。
一番美しい。
但し、なぜこの理論なのか、という疑問は永遠に残る。
・多宇宙(マルチバース)
uni-verseではなく、multi-verse。
永久インフレーションする宇宙でたまたまインフレーションが止まった部分(ポケット宇宙)が無数に存在していて、自分達の宇宙はポケット宇宙のどこか一つ。
※ポケット宇宙毎に宇宙法則は異なる。
多宇宙論にもいくつかバリエーションはあるようだけど。
一番自然な気がします。
あ、ここで言っている多宇宙は量子論的な多宇宙論とは別です。
(量子を観測する毎(だっけ?)に世界が無数に分かれる的な)
・インテリジェント・デザイン
全てが説明され、そして何も説明されない。
文化圏的に、一応触れとかないといけない感じなんでしょうか。
・生命原理
なぜ、宇宙は生命を"知っている"のか。
インテリジェント・デザインとあまり変わらない気がする。
知性が宇宙に置き換わっただけで。
・自己説明する宇宙
生命原理を高等にした感じ?
ここまで来ると、科学なのか、哲学なのか、宗教なのか分かりません。
とりあえず、自分の直感/直観には反する。
・偽宇宙
本では多宇宙論(マルチバース)の欠点みたいな言い方をされていたけど、偶然の宇宙でも唯一の宇宙でも変わらない気がする。
宇宙がたくさんあれば宇宙をシミュレートする文明があるだろうし、シミュレートされた宇宙の中で宇宙をシミュレートする文明があるだろう……の入れ子構造で「現実の宇宙」より「仮想の宇宙」(偽宇宙)の数のほうが遥かに多いことになる。
そうすると、確率的に考えてこの宇宙も仮想の宇宙かもしれないという説。
「神」が存在する世界。
(自分はこのフレーズで鳥肌が立ちましたが皆さんどうでしょう?)
インテリジェントデザインの変種ともいえるし、不可知論でしかないって話もある。
自分的には高次の世界(深い意味はなく適当な表現です)から見ればシミュレーションに過ぎなくても、シミュレートされた世界に住んでる身としては紛うことなき現実なんだし、それで問題ない気がするけど。
現状、放置プレーっぽいし、「神」を気にする必要もないでしょう。
実は過去に何度か「介入」しているみたいな話は小説としては非常に面白いと思うけど、介入されていたとしてもせいぜい宇宙の最初期のパラメータ調整ぐらいではないかと。
「神がいない世界」=「現実の世界」
「神がいる世界」=「シミュレートされた世界」
どちらがお好みでしょう?
・それ以外
それ以外。
最後に、現時点では決定的な答えは出せないし、どの立場を取っている人も結局のところ自分の宗教的直観を信じて研究してるだけじゃね? みたいな話があった。
確かに。
H20.10.13
「意思決定を支えるビジネスインテリジェンス」エリザベス・ビット&マイケル・ルーコヴィッチ
約4ヶ月振りの書評になります。
しかも実際に読んだのは半年前っていう……。
とりあえず最も印象が残っているのが翻訳が直訳過ぎなところだったり。
日本語のはずなのに英語を読んでいる気分でした……。
3部構成になっていて、ざっくり言うと「BIとは何か」「ケーススタディ」「BI適用の実際」といったところでしょうか。
ちなみに、BIの話でよく引き合いに出される「おむつとビール」の話は実は
伝説だったみたいです。
H21.02.15
「働き方革命」駒崎弘樹
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)
机上の空論ではなくて、実際に長時間働いていた著者の話なので、説得力がありますね。
実例もいろいろ紹介されていて参考になります。
ワークライフバランス(WLB)の実現には、トップマネジメントの意識改革とか、評価軸の変更がキーポイントになると思います。
上の人間が、長時間残業している人間が頑張っていて、定時で帰る奴はやる気が無いみたいに思っていたら意味ないです。
最低でも1人の中間管理職と配下の社員で認識を共有しないと厳しいでしょうね。
WLBに関しては今後興味深い話があるのですが、しがらみで書けないところが辛いところです。
H21.9.13