「幸運な宇宙」ポール・デイヴィス

| コメント(0) | トラックバック(0)
今ある宇宙の物理定数の種々は生物が生まれるのに都合よく調整されているように「見える」けど果たして? というお話。

宇宙についてこれまでに分かっていることの他、さまざまな仮説が紹介されています。
面白すぎて鼻血が出ます。

・偶然の宇宙
筆者は「ばかげた宇宙」と読んでいましたが、自分は偶然の宇宙と表現してみました。
宇宙はたまたまこういう姿をしていて、そこに理由などないという説。
大部分の科学者はこの見解を取るけど……"たまたま"の確率がダークエネルギーに関するものに限ってみても10^120分の1なのに偶然では片付けられないのでは、という話。

ちなみに、この確率はコイン投げで400回連続で表が出る確率ぐらい。
マージャンだと、21回以上連続で天和が出ますww

しかも、これ以外にも山ほどの偶然が積み重なっているというね。
確かにこれを偶然と考えるのは馬鹿げてるとしか……。

2ch風に言うと「ちょまw どう見てもチートだろjk」

・唯一の宇宙
これは、ある究極の理論があって、その理論の帰結として宇宙の姿は"この姿"だけに限定されるという説。
偶然は必然でした。
一番美しい。
但し、なぜこの理論なのか、という疑問は永遠に残る。

・多宇宙(マルチバース)
uni-verseではなく、multi-verse。
永久インフレーションする宇宙でたまたまインフレーションが止まった部分(ポケット宇宙)が無数に存在していて、自分達の宇宙はポケット宇宙のどこか一つ。
※ポケット宇宙毎に宇宙法則は異なる。

多宇宙論にもいくつかバリエーションはあるようだけど。

一番自然な気がします。

あ、ここで言っている多宇宙は量子論的な多宇宙論とは別です。
(量子を観測する毎(だっけ?)に世界が無数に分かれる的な)

・インテリジェント・デザイン
全てが説明され、そして何も説明されない。
文化圏的に、一応触れとかないといけない感じなんでしょうか。

・生命原理
なぜ、宇宙は生命を"知っている"のか。
インテリジェント・デザインとあまり変わらない気がする。
知性が宇宙に置き換わっただけで。

・自己説明する宇宙
生命原理を高等にした感じ?
ここまで来ると、科学なのか、哲学なのか、宗教なのか分かりません。
とりあえず、自分の直感/直観には反する。

・偽宇宙
本では多宇宙論(マルチバース)の欠点みたいな言い方をされていたけど、偶然の宇宙でも唯一の宇宙でも変わらない気がする。
宇宙がたくさんあれば宇宙をシミュレートする文明があるだろうし、シミュレートされた宇宙の中で宇宙をシミュレートする文明があるだろう……の入れ子構造で「現実の宇宙」より「仮想の宇宙」(偽宇宙)の数のほうが遥かに多いことになる。
そうすると、確率的に考えてこの宇宙も仮想の宇宙かもしれないという説。


「神」が存在する世界。


(自分はこのフレーズで鳥肌が立ちましたが皆さんどうでしょう?)

インテリジェントデザインの変種ともいえるし、不可知論でしかないって話もある。

自分的には高次の世界(深い意味はなく適当な表現です)から見ればシミュレーションに過ぎなくても、シミュレートされた世界に住んでる身としては紛うことなき現実なんだし、それで問題ない気がするけど。
現状、放置プレーっぽいし、「神」を気にする必要もないでしょう。
実は過去に何度か「介入」しているみたいな話は小説としては非常に面白いと思うけど、介入されていたとしてもせいぜい宇宙の最初期のパラメータ調整ぐらいではないかと。

「神がいない世界」=「現実の世界」
「神がいる世界」=「シミュレートされた世界」
どちらがお好みでしょう?

・それ以外
それ以外。

最後に、現時点では決定的な答えは出せないし、どの立場を取っている人も結局のところ自分の宗教的直観を信じて研究してるだけじゃね? みたいな話があった。
確かに。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://hexarys.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/184

コメントする