「“トウモロコシ”から読む世界経済」江藤隆司

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トウモロコシを中心とした穀物市場の現場を著者の商社マンとしての体験をもとに紹介。

内容は、アメリカにおける穀物取引の実際(ペーパーではなく、現物)、マーケットにおける商品としてのトウモロコシ、穀物相場、アメリカの農民のメンタリティ、エネルギー源としてのトウモロコシ、ブラジルやインドネシアにおける農業開発、遺伝子組み換え作物のアメリカにおける扱い、穀物や食料の貿易の観点から見たソ連→ロシアの変遷、今後の展望などなど……。
興味深い話の連続で、改めて考えてみると、よく新書にこれだけの内容を詰め込めたなという印象。

穀物取引の観点からすると、通貨危機も違った光景に見えることに驚きました。
商品、それも穀物の奥深さを感じます。
今のところ、これ以上コモディティに投資する予定は無いけど。
ただ、アメリカの穀物市場では遺伝子組み換え作物が区別されていないのに対して、日本では区別されているという話を聞いて、その辺に裁定機会があるんじゃないかと感じた。
とっくに誰かが気づいてやってるだろう気もするけど、めんどくさいので調べない。

最近はトウモロコシからエタノールを作って自動車の燃料に利用しているけど、食べ物をエネルギー源にするのはどうも抵抗があった。
が、考えてみれば人間を動かすか、車を動かすかの違いでしかない。
でも、需給が逼迫したときに、車を動かすために人間を動かすのを止める、なんてことになったらちょっと空恐ろしいものを感じる。
まあ、それも普段意識していないだけで、それに近いことは現在でも行なわれてるよなぁ……。

ここ最近読んだ本の中で一番勉強になった気がします。
……一番最後に読んだ本なので、そういうバイアスが働いてるだけかもしれんがw

あ、あと、こういう著者の体験を元にした本にありがちな変な自己顕示欲みたいなもの等がほとんど感じられないのも高評価。

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